北欧ソファまとめ【12年後】オーレ・ヴァンシャーのソファ  [家具]



Ole Wanscher(オーレ・ヴァンシャー)  イージーチェア 
date :1960年?
material :チーク
manufacturer / client :France &Son(フランス&サン) /Denmark
使用年数       :12年
 
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初めて手に入れた北欧家具。
我が家に来てから、今年の10月でちょうど12年。生産されてからは50年以上になる、僕の愛してやまないモノ。
今回はちょっと真面目に北欧家具を語ってみようかと。

このオーレ・ヴァンシャーソファを12年使ってみて、僕の北欧のソファを選ぶ際の「フレームの材質」や「クッション」や「生地」や「座り心地」、「背もたれの角度」や「メーカー」なんかの基準や感想を備忘録も兼ねて。

あくまで個人の意見だけど、決して安くはない北欧ヴィンテージソファを欲しいな思っている人や、迷っている人の参考になれば嬉しいです。





【購入動機】
当時は北欧ブームだったけど、それだけじゃなくて50年も残るようなデザインや、そのモノ自体はさらに50年ぐらい使えそうで、コストパフォーマンスがいいと思ったから。
家具に限らず新品よりはヴィンテージが好きだったからということもあるけれど。




以前の記事にも少し書いたけど、フレームとなる木材は当時はしっかりと乾燥されてから世に出ていたので、家具に加工する際も狂いが出にくい良い木が使われているとか、昔のモノの方が丁寧にしっかりと作られているイメージも愛重なって。

【1シーター選択理由】
当時はカリモク60のKチェア2シーターで満足してたし、単純に北欧家具でよくある3シーターは高くて手が出なかった。
あと1人用ソファという贅沢な感じがあることや、場所も取らないというところも魅力だった。

そんなわけで、3シーターは諦め、1シーターのソファを探してた。
それでもなかなか手が出るモノはなかったけれど、ある時ほんとボロボロな状態のソファをネットで。
これがこのオーレ・ヴァンシャーのソファ。当時ネットで探しても、なかなか同じデザインを見つけられなくて、本物か悩んだけれど、メーカーがフランス&サンだったので作りは良さそうだと思って。
しかもボロボロな分お値打ちだったので。

今現在も同じモデルは見つけられず。
ただロッキングチェアでは、酷似したモデルがある。
これのロッカー部分を切ったのかなぁ。
いろんなことを想像できるのもヴィンテージならではの楽しみ。
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※オーレ・ヴァンシャーではModel 166が比較的出回ってる。
 最初下の画と同じモデルかと思ったんだけど、よく見るとこちらは後脚から背もたれへ綺麗にラインがつながっている。
 こちらも同じフランス&サン製で、フレームはチーク材。座面はウレタンのみだけど、背もたれはスプリング内包のクッション。多分フレーム座面はフラットバネ仕様、生地はおそらくリバコ。結構状態は良いと思います。
写真判断ですが。

この説明では、???の人は、読み進めて頂ければもう少し意味が分かると思います。



この166でも背もたれはいろんな形があるので、トライアンドエラーを繰り返して、常にリニューアルをしてたのだろうか。
どんなロングラン商品も、その時その時の時代に少しづつ沿っていくようなリニューアルは必要だと思う。
その結果がロングラン商品になる。

【ファブリック(生地)】
当初ソファの生地はヴィンテージで、手に入れてから数ヶ月は使ってたんだけど、元々だいぶ傷んでいたので、すぐに穴が空いてきた。
そこで生地を張り替えてもらった。

北欧家具の張り替え生地といえば、デンマークを代表するメーカーのクヴァドラが有名だけど、生地が素晴らしいのに比例してお値段も素晴らしく、色々と悩んだ挙句、リバコの生地(NCシリーズ)にしました。
色のバリエーションがかなり多い。色、結構迷ったなぁ。紫で正解だったけれど。

生地の値段だけじゃなくて張り替えの値段もかかるんで、結構した記憶があります。
値段覚えてない。。。クヴァドラよりは遥かに安かった記憶だけはある。
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リバコは日本のメーカーの生地。これが結構良くて、いろんな家具屋さんで、いろんな張り替えに使われている。
我が家のペーパーナイフソファもリバコ生地です。こちらはフレームだけの状態だったんで、ウレタンから全てゼロから作ってもらったんだけど。

一見少し暑そうに思えるんだけど、真夏の暑い時期にエアコンを使わない状況でなければ、年中快適に座れます。そしてこのリバコの生地はかなり丈夫。
もう12年、頻度高く使ってるけれど、まだまだ使えそう。

張り替えが比較的簡単にできるのも、北欧ソファのメリット。
あと10年ぐらい使ったら、レザーに張り替えしてみたい。
一生楽しめると思う。そしてその間に価値はどんどん上がっていく。

張り替えは、北欧ヴィンテージ家具を扱っている店ならどこでもできると思う。
自分でやっているところは少なくて、大抵、腕の良い職人さんと繋がっている店が多いです。
僕みたいにネットで購入したモノは受け付けてくれないことも多いけれど、やってくれるところもあるし、他に興味のあるモノを購入することで、受けてくれるところもあると思います。

【フレーム】
北欧家具に使われている木材は、主にチーク、オーク、ビーチ、ローズウッド、プライウッドの5種類が多いと思う。
これはチーク。
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それぞれの特徴を簡単に。
チーク:水に強く、昔から船の材料に使われていた。
家具例:我が家のオーレ・ヴァンシャーとカイ・クリスチャンセンのソファはチークです。
個人的には一番好きな素材。手触りが少ししっとりしている感じがする。

オーク:元は明るい色だけど、使い込むうちに落ち着いた色合いになる。丈夫で加工性も良い。
家具例:ウェグナー のGE290とかモーエンセンのJ-39とかによく使われています。

ビーチ:世界で一番多く使われている家具用木材。乾燥して狂うことが多い木だけど、コストが安い。
家具例:ウェグナー のYチェアでよく使われています。オークやチェリーとかの木材でも生産されているけど、ビーチが一番安い。とは言っても現行品で10万ぐらいするけど。

ローズウッド:高級木材。特にブラジル産のブラジリアン・ローズウッドは憧れ。
加工性はよくないらしいけど、木目が美しくて人気がある。もうなかなか手に入らない。
家具例:希少。代表するものが思い当たらない。

プライウッド:成形合板。1950年以降の主力。当初は技術的に問題が多かったらしいけど、今は技術が上がりなくてはならないもの。コストが安い。木の質感はほとんど感じない。
家具例:アルネ・ヤコブセンのセブンチェアなんかが有名です。

同じ家具を作るとして、値段の高い順に並べると、ローズウッド→チーク→オーク→ビーチ→プライウッドかな。一般的に。




この色と曲線が美しい。
強度を保ちながら、デザインでも魅せる。
おそらく釘は使われていないし、ネジも極力使っていない。使っても見えないところにある。
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【背もたれの角度】
角度があまりないけれど(直角に近い感じ)、在宅勤務が増えて、仕事をするには最適。
緊急事態宣言が出て、在宅勤務が続いていた頃は、皆、会社の椅子って意外に良い椅子を使ってたんだなーとか、椅子がしんどくて、最強のクッション探してるとか言っていたけど、このソファで仕事していた僕は、もう何時間でも座ってられるなー、家の方がいいなと思ってた。

でも思いっきり背もたれに体を預けてくつろぎたい時には不向きかも。
我が家のペーパーナイフソファはこれよりもっと角度が広くて、ゆったり座れるイメージ。
有名どころだとウェグナー のGEシリーズなんかは、さらに角度が広い。

個人的には、ソファでゆっくりコーヒーやお酒を飲むことが多いので、前にテーブルを置いてたりすると、角度が広過ぎるソファは都度、体を起こすのが大変。

本を読むときなんかは、しっかり体を預けられる角度の広いソファの方が向いているかも。
まぁどれにしても、長時間の使用に耐えられると思います。
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【クッション】
クッションは、よくあるウレタン製じゃなくて、ウレタン+コイルスプリング製で、購入時からそのコイルスプリングが中で折れていて、座ると刺さる感じで痛いぐらいになった。
ウレタンも劣化していて、生地の張り替えの時に、ウレタンのみで作り直すか、コイルスプリングを活かすか迷った。
でもコイルスプリングの方が貴重だし、ウレタンはコイルスプリングが完全にダメになってからでも作れるなと思って、コイルスプリングを活かした。
折れたところに厚めにウレタンを加える処理をしてもらったんだけど、12年経ってもどこがその部分なのか分からない。

座り心地は、好みだと思うけれど、正直そんなにコイルスプリングもウレタンも変わらない。
コイルスプリングの方が反発力はある感じ。

普通に取り外しができるのがいい。
掃除はしやすいし、たまに天日干しなんかも、気軽にできる。

【フレームの座面のゴム】
これが北欧ソファの座り心地をよくしている一番の功労者じゃないのかと思う。
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ファブリックの間にゴムが入っています。上から見ても下から見ても見えないけれど、触った感じフラットバネが使われていると思う。他にもウェービングテープ仕様とかチューブスプリング仕様なんかがあります。

ペーパーナイフソファならこんな感じ。
ワイヤースプリングとかチューブスプリングとかの名称です。
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こちらの方が交換はしやすいけれど、どちらも10年以上使った感じ、フラットバネの方が耐久性はある。チューブスプリングの方は、よく座る箇所のゴムが少し伸びてきた。

クッションだけでも相当座り心地がいいのに、これがあることで、さらにクッション性が増します。安定します。

【メーカー】
フランス&サン社。名前からしてフランス製っぽいけど、デンマークの家具メーカー。
現在はもう無いメーカーです。
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フィン・ユールのデザインも作っていたりする技術の高いメーカー。
※フィン・ユールのデザインは家具の常識から外れていることがあり、生産が難しいらしいです。
似たようなマークのCADO社製のものもたまに見るけど、それはフランス&サン社が1966年にCADO社に事業を継承したから。なのでこのソファは1966年以前のモノということになる。

【嫁さん対策】
引越しの際に、一番に手放したらと言われたのが、このソファでした。
嫁さんは大抵、ペーパーナイフソファ(3シーター)を使ってたので、そっちがあれば1シーターは
いらないじゃん。という考えで。置く場所もないし。

なんとか説得できたのは、購入時の価格を説明して(リペア代は含んでないけれど)、今の相場を説明したから。
売れば?と言われたけど、もう2度と同じモノは作れないから、もっともっと上がるよ。ということで、下手な投資より確率が高いし、投資中に使用できることもポイントだった。

もう一脚買うなら王道のウェグナーかなー。
デザインとしてはフィン・ユールが好きだけど、強度が気になる。

model166をハイバックにした169というのもある。
こちらはCADO社製で1980年頃とのこと。
フレームはチーク材。多分フレーム座面はフラットバネ仕様、生地はヴィンテージ。
クッションはオリジナルだからウレタン&コイルスプリングだと思うんだけど、80年代ということと、CADO社製ということで、聞いてみないとよくわからない。かなり珍しいモデル。




しかし会社が変わったのに、何十年も同じモノを作り続けるというのは、当時も魅了された人が沢山いたんだろうなと思う。

もう会社自体がなくなっしまったのは本当に残念だけれど。
勝手にオモイを馳せると、腕の良い職人さんがどんどん高齢化したり、このクオリティを維持しようとすると費用対効果が合わなくなってきたけれど、クオリティを落とすぐらいなら、事業をたたむと判断したのかなぁ。フランス&サンからずっと働いてる職人さんもいただろうな。

もう全くの推測でしかないけれど。





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